行政書士堀井タヰガ事務所

会社設立手続き完全ガイド〜手続きの手順と注意点〜

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会社設立時の定款作成と認証について

会社設立時の定款作成と認証について

2024/05/11

今回は、株式会社設立手続きに必須の定款作成について解説いたします。定款作成は、起業家にとって最初で最も重要なステップの一つであり、手続きを正しく行うことが成功の鍵となります。本ガイドでは、定款作成・認証の際の記載事項の注意点や費用について詳しく説明し、スムーズな株式会社設立のためのアドバイスをお届けします。株式会社設立を考えている方は必読です。

目次

    株式会社の基礎情報の設定

    まずは会社の基礎情報を設定することから始めます。この基礎情報は会社定款や登記情報に反映される重要な事項です。なお、青字の項目は、定款に必ず記載しなければならない項目です。

    • 目的(事業目的)
    • 商号(会社名)
    • 本店所在地
    • 設立に際して出資される財産の価額または最低額
    • 発起人の氏名または名称及び住所
    • 発行可能株式総数
    • 資本金
    • 会計年度
    • 設立年月日
    • 役員及び株主の構成

    目的(事業目的)

    目的はその会社がどのような事業を行うのか、また、その範囲を定めたものです。目的は定款記載事項であり、定款に書かれていない事業は原則として行うことができません。そのため、将来的に行う可能性のある事業なども含めて定款に記載します。
    事業内容によっては許認可が必要なものもありますが、これを許可取得前に記載することも問題ありません。

    定款に事業目的を記載したからといって必ずその事業を行わなければならないわけではありません。また、事業目的の数には制限がないため、いくつでも記載することができます。しかし、設立して間もない会社の事業目的があまりにも多い場合、何をしている会社か分かりにくく、社会的な信用度に影響を及ぼす可能性があります。

    そのため、設立時の定款の事業目的はあまり多く記載しすぎずに、10項目ほどにしておくのが良いでしょう。

    商号(会社名)

    商号とは会社の名称のことであり、会社を識別するためのものです。会社名を決める際には、同一所在地・同一商号の禁止や、不正競争防止などを考慮する必要があります。また、有名企業などは商標登録していることも少なくありません。他企業の商標権を侵害してしまうと紛争に発展する恐れもあるため、調査が必要です。

    会社名を設立後に変更することもできますが、商号の変更は登記が必須であるため、頻繁に変えることのないように注意しましょう。

    本店所在地

    本店所在地は、その会社がどこに位置しているのかという情報です。個人でいうところの住所のようなもので、最小行政区画(市区町村)までの記載とすることも可能です。

    事業の拡大や事情により設立後に事業所を移転する場合、本店所在地は絶対的記載事項のため、定款変更と登記変更の手続きが必要になります。その際、最小行政区画までの記載にしておけば、同一区画内での移転であれば定款や登記の変更が不要になるというメリットがあります。

    一方で、同一住所に同一商号の会社の登記をすることができないというルールがあるため、同じ行政区画内に類似の商号の会社がないか調査をする必要があります。

    自宅を本店所在地として登記することもできますが、その場合は事業用として使用可能かどうか、契約上の問題がでてきます。また、レンタルオフィス、バーチャルオフィスも可能ですが、許認可を必要とする事業の場合は、許可要件でレンタルオフィスやバーチャルオフィスなどを制限しているケースもあるため注意が必要です。

    設立に際して出資される財産の価額またはその最低額

    設立に際して出資される財産の価額とは、発起人が出資する価額が決まっている場合は、その価額の合計額がこれに当たります。例えば、発起人が3人いて、1人あたり100万円を出資する場合、「設立に際して出資される財産の価額」は300万円となります。

    なお、出資できるのは、金銭に限りません。例えば、自動車などの価値のあるものも出資できます。自動車を出資すれば新しく購入することなく、その自動車を会社の営業車として使用することができ、出資として成り立ちます。このように物を出資することを現物出資と言います。

    出資される財産の最低額とは、発起人は決まっているが、出資する金額がまだ決まっていない場合に、当面の間事業を運営するために必要な財産の最低額のことを指します。会社を設立して、すぐに資金ショートしてしまうことの無いように一定期間事業継続できだけの最低額を決めておきます。

    もしも、この最低額を下回ってしまった場合、設立は無効となります。

    発起人の氏名または名称及び住所

    発起人とは、株式会社を設立する人であり、設立後は株主となる人のことです。一人の場合だけでなく、複数の人が共同で発起人として設立することもあります。また、会社などの法人が発起人になることもあります。

    発起人は最低でも1株以上の株式を引き受けなければならないと会社法に定められているため、必然的に株主となります。

    会社法25条2項

    各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。

    発起人が自然人(個人)であれば氏名と住所を、法人であれば名称と所在地を定款に記載しなければなりません。この項目についても定款のの絶対的記載事項となります。

    発行可能株式総数

    発行可能株式総数は、株主総会による決議なしで発行できる株式数のことで、会社が発行できる全体としての株式数の上限とは異なります。この発行可能株式総数も、株式会社を設立するうえで必ず定めなければならない項目の1つです。

    設立段階では、発行可能株式総数にある程度の余裕を持たせておくことも重要です。将来的に増資によって資金調達を行う場合、発行可能株式総数を超えて株式を発行することはできないため、変更登記をしなければなりません。あらかじめ余裕をもたせた数に設定しておいたほうがよいでしょう。

    資本金

    資本金とは、会社設立や増資で出資者から払い込まれた金額のことです。設立当初はこの資本金が運転資金の基礎となります。現行法上は資本金の金額に最低額の制限はありません。そのため法律上は、資本金を1円と設定して会社を設立することができます。
    しかしながら資本金があまりにも少額だと社会的信用度を落としたり、そもそも安定した事業経営をすることは困難です。そのため資本金の額は、初期費用と運転資金半年分程度を用意しておくのが良いでしょう。

    会計年度

    会計年度とは、会社が会計上の業績を評価する期間のことで、通常は1年間です。会計年度は会社が自由に設定できますが、多くの企業が4月1日から翌年3月31日までの期間を会計年度として定めています。

    また会計年度を定めるには、決算月も設定しなければなりません。これについては、会社の繁忙期と決算月が重なると業務が集中し支障が出るため、一般的に決算月は繁忙期と重ならないように定めます。

    設立年月日

    株式会社の設立日は、「法務局に会社設立登記の申請を行った日」となります。登記が完了した日ではないことは注意点です。郵送による申請の場合は、「法務局にて受付が行われた日」です。

    会社設立日は、大安吉日や自身に思い入れのある日を選ぶこともできます。しかし、法務局が休みの日を設立日とすることはできません。法務局が設立登記を受付ることができる日は「国民の祝日に関する法律に規定する休日及び年末年始を除く月曜日から金曜日」となります。

    役員及び株主の構成

    株式会社を設立する際には、役員の人数や株主の構成を決めなければなりません。

    役員とは、会社の業務執行機関である取締役や監査機関である監査役のことです。

    株式会社は原則として、最低1名以上の取締役と1名以上の監査役を置かなければなりません。

    株主とは、株式会社の最高意思決定機関である「株主総会」を構成します。株主総会では、役員の選任や解任、会社の解散、合併等、会社の重要事項について決定します。株主は、所有する株式数に応じて議決権が異なります。

    誰がどれだけ株式を持っているのかは、会社を運営していく上で非常に重要です。そのため株式会社の場合は、設立時に「株主名簿」を作成し添付しなければなりません。

    定款作成と認証手続き

    前述した項目を考慮して定款を作成します。定款には、目的や商号などの「絶対的記載事項」、株券発行や株式の譲渡制限規定などの「相対的記載事項」、定期株主総会の招集時期や役員の数などの「任意的記載事項」の3種類の事項を記載して作成します。

    定款を作成したら、必要書類や認証手数料を揃えて公証役場で認証を受けます。定款認証は原則として発起人全員が公証役場で出向いて行いますが、代理人を立てることもできます。

    会社設立にかかる費用

    株式会社設立時に必要な費用として、法務局での設立登記費用・公証役場での定款認証費用・印紙代・印刷物・書類の作成費用などです。

    株式会社
    合同会社
    合名会社
    合資会社
    収入印紙代
    (電子定款の場合は不要)
    4万円
    4万円
    4万円
    4万円
    定款認証手数料
    3~5万円
    なし
    なし
    なし
    定款謄本発行手数料
    約2,000円
    なし
    なし
    なし
    登録免許税
    15万円
    6万円
    6万円
    6万円
    合計
    約22~24万円
    10万円
    10万円
    10万円

    また行政書士などの専門家に依頼する場合は、定款作成や認証などに報酬がかかります。これらの費用は、会社設立に必要な資金となります。設立に際し融資を受ける場合や、事業計画を考える上でも重要です。

    行政書士に依頼するメリット

    株式会社の設立は自分でも行うことができますが、行政書士などの専門家に相談することで、面倒な書類作成や、繁雑な手続きを回避することができます。

    また、定款作成や認証などの単なる事務手続きのみではなく、例えば許認可が必要な事業の場合は専門家として申請書類の作成、行政庁との事前協議、申請代行を行うことができます。さらに、法人の銀行口座開設や金融機関融資に必要な事業計画書の作成や同行支援、補助金申請支援なども行うことができます。

    以上のように、会社設立を考えたときに行政書士に相談するメリットは非常に大きいといえます。

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