【広域交付制度が開始】最寄りの役場で戸籍証明書の請求が可能に!
2024/03/30
令和6年3月1日から、全国的に導入された広域交付制度において、住民票や戸籍証明書の発行が大きく変化しました。
今回は、広域交付制度下での住民票や戸籍証明書の発行方法や注意点について解説します。
目次
広域交付制度とは
広域交付制度とは、他市区町村に本籍がある方が、全国の市区町村役場の窓口で戸籍謄本・除籍謄本等の戸籍証明書の交付の請求ができる制度です。この制度により、取得したい戸籍謄本等の本籍地が自分の遠方にあっても、最寄りの1か所の市区町村役場窓口でまとめて請求ができます。
これまで、戸籍謄本等を取得するには、本籍地のある市区町村役場への請求か、マイナンバーカードによるコンビニでの取得しかできませんでした。そのため、本籍地と住所地が離れている場合は、わざわざ窓口まで行くか、郵送により請求しなければならず、とても不便でした。
広域交付制度は、本籍地と住所地が異なる利用者にとっては、非常に便利な制度なので、よく理解して活用していきましょう。
取得できる証明書、取得できない証明書
広域交付制度で取得することのできる証明書、及び、取得できない証明書は以下のとおりです。
取得できる証明書 | 取得できない証明書 |
---|---|
戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) | 個人事項証明書(戸籍抄本) |
除籍全部事項証明書 | 戸籍の附票 |
除籍(改製原戸籍)謄本 | 戸籍の記載事項証明書 |
戸籍電子証明書提供用識別符号 | 身分証明書 |
除籍電子証明書提供用識別符号 | 独身証明書 |
今のところ、戸籍の附票や身分証明書などの一部証明書は広域交付制度の対象外ですが、今後、取得できる証明書は随時拡大していくものと思われます。
広域交付制度で戸籍を請求できる人
広域交付制度を利用して証明書の取得請求ができるのは、本人、配偶者、父母や祖父母などの直系尊属、子や孫などの直径卑属に限られます。
委任状による代理請求や第三者請求、及び、弁護士や行政書士などの職務上請求は広域交付の対象外となっています。また、郵送での請求も受け付けておらず、窓口での手続きが必要となります。
申請の流れや必要書類
広域交付制度で戸籍謄本等の取得請求をするには、制度を利用して請求できる人が窓口に行って手続きをする必要があります。
まず、窓口に設置してある交付申請書に必要事項を記入しましょう。例えば、本人以外の戸籍を取得する場合に必要な情報は、氏名、生年月日、筆頭者氏名、本籍や戸籍取得の理由、取得後の提出先などです。これらの情報はきちんと整理してから窓口に行きましょう。必要情報が分からなかったり、記入しなかったりすると、戸籍謄本は取得することができません。
また、本人確認書類を持参しましょう。本人確認書類として利用できるのは、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどの顔写真付きの身分証明書です。官公署から発行されたものでなければ本人確認書類として機能しないため、会社の社員証などは利用できません。
また、請求には発行手数料がかかるため、現金を用意していきましょう。戸籍謄本は450円、除籍謄本や改正原戸籍は750円の場合が一般的です。
注意点とまとめ
広域交付制度は令和6年3月1日から始まった新しい制度です。
そのため、この制度を利用して戸籍謄本や除籍謄本を取得請求する場合は、手続きする市区町村役場の窓口から、本籍地のある市区町村役場へ照会や確認をするため通常よりも時間がかかります。例えば、相続手続きに必要な被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍、改正原戸籍等を請求する場合などは、概ね1時間の待ち時間がかかることもあります。
また、システムメンテナンスや障害などによる稼働が停止している時には利用できないというデメリットもあります。
広域交付制度は相続手続きの相続人調査の場面では非常に便利ですが、そもそも取得すべき戸籍が分からないと窓口で何度も請求することになってしまいます。相続人の調査は行政書士などの専門家に依頼するとスムーズに相続手続きを進めることができます。相続人調査でお悩みの際は行政書士に相談してみてはいかがでしょう。