農地を相続させる場合の遺言書の書き方
2024/06/05
目次
農地とは
農地の登記簿上の地目は田又は畑です。登記簿上の地目では宅地や原野でも、現況地目が農地であれば、農地と扱われる場合があります。
農地を相続した場合は、農地法により農業委員会への届出義務があるため、一般的な土地の相続に比べて注意が必要です。
記載注意点
農地を相続させる場合も、通常の土地を相続させる場合と同様に、遺言書に所在、地番、地目及び地積を記載して目的物を特定しますが、農地法の規定に留意が必要です。すなわち、農地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、原則として農業委員会の許可を受けなければならず、許可を受けずになされた行為は効力が生じません。
しかし、相続による農地の承継は被相続人の死亡によって法律上当然生ずる効果なので農業委員会の許可は不要です。ただし、農業委員会が所有者等の情報を把握する必要があるため、農地の相続人は農業委員会に対して遅滞なく相続した旨を届け出なければなりません。この「遅滞なく」とは、おおむね10か月以内とされており、届出を怠った場合又は虚偽の届出を行った場合は10万円以下の過料に処されます。
記載例
第1条 遺言者は、遺言者が所有する下記の土地を、遺言者の妻A(昭和〇〇年 〇〇月〇〇日生)に相続させる。
記
所 在 相模原市〇〇町〇〇丁目
地 番 〇〇番〇〇
地 目 田
地 積 〇〇.〇〇平方メートル
農地についての相続税の納税猶予
農業を営んでいた被相続人又は特定貸付け等を行っていた被相続人から一定の相続人が一定の農地を相続や遺贈によって取得し、農業を営む場合又は特定貸付け等を行う場合には、一定の要件の下にその取得した農地の価額のうち農業投資価格による価額を超える部分に対応する相続税額は、その取得した農地について相続人が農業の継続又は特定貸付け等を行っている場合に限り、その納税が猶予されます。